自分好み· 12日前

NHKが追った『日本一長く服役した男』61年ものあいだ刑務所にいた囚人の最期

自分で撒いた種とはいえ、塀の中に61年間閉じ込められたら、人はどうなってしまうのか?

21才で刑務所に入り、83才で出所した『日本一長く服役した男』を追ったドキュメンタリーがNHKで放送された。

“日本記録保持者”のその男は、1957年に強盗殺人事件を起こして、翌年に無期懲役の判決を受け刑務所へ。その後、5度にわたって仮釈放申請を行ったが、「受け入れ先がない」との理由で棄却され、61年間服役することになった。番組は出所前から男に密着。しかし、現実は厳しかった。

出所が決まった男は職員と面談するが、質問の途中で立ち上がるなどし、『何年間刑務所に入っているのか?』という質問にも答えられず。出所後は福祉施設に預けられることになったが、手荷物は数点しかなく、スタッフも戸惑う様子を見せた。

服役中には精神病を患ったこともあったようで、職員の問い掛けには応じるものの、理解しているかどうかは怪しい状態だ。やがて職員の言うことを聞かなくなり、注意されると『刑務所でも警察でも連れていけ』と言い放つ。

これほど長く服役した男がようやく仮釈放をもらえたのは、法制度が変わったからだ。受刑者の高齢化に直面した政府は、高齢者や障害のある受刑者を福祉施設で受け入れる「特別調整」を2009年に導入。ただ、無期懲役囚となるとそのハードルは極めて高い。番組を見ていたフリージャーナリストはこう語る。

「昭和の頃は、無期懲役でも20年未満で仮釈放されるのが当たり前で、仮釈放中に殺人事件を起こし、2度目の無期懲役判決を受ける犯罪者も珍しくありませんでした。そのため、今でも『無期懲役でもすぐ出られる』と思っている人は多いようで、2015年には、弁護士の大渕愛子がテレビ番組で『無期懲役でも15年くらいで仮釈放になる』と発言していますが、これは間違いです。

現在は有期刑の最高が30年になったため、無期懲役囚が仮釈放の審査にかかるのは、事実上30年目以降。無期懲役囚は現在2000人近くいますが、仮釈放をもらえるのは年間数人です。仮釈放をもらうには、改悛の情や身寄りの有無などが問われますが、無期懲役囚の場合、家族から完全に見離されていたり、天涯孤独だったりするケースが多く、これが出所を阻む大きな壁になるのです」(フリージャーナリスト)

それでも出所できた“61年ムショ暮らし”男。だが、その物語は唐突に終わる。

男はそもそも、今いる場所がどこかすらわかっていないようで、もちろん被害者への懺悔の言葉もない。故人を弔うよう、命日に寺を訪れるが、そこでもブツブツと独り言をこぼすのみ。そして出所から1年で、あっさり亡くなる。

人生の大半を刑務所で暮らした男には、刑務所こそが我が家。彼にとっては“カゴの中”のほうがよほど暮らしやすかったのかもしれない。

日刊サイゾー

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最終更新:2020/10/14 11:00